深夜2時。
誰にも言えない秘密を抱えて、
私はホテルの部屋のカーテンを静かに開けた。
街の灯りは、どこか遠くて、けれど確かにそこにある。
まるで――あの夜の彼の眼差しのようだった。
あの夜。
はじまりは好奇心だったかもしれない。
あるいは、欲望だったのかもしれない。
でも、終わってみれば、それは**“癒し”という名前の救い**だった。
ただ、触れてほしかった。
キスだけで終わるつもりだったのに、
手を伸ばしてしまったのは、身体よりも、心だったのだと今ならわかる。
誰にも見せられない涙をこぼして、
「女」として泣いた。
「女」として笑った。
あの夜のわたしは、
誰かのための“妻”でも、仕事の“肩書き”でもなかった。
ただ一人の、“わたし”だった。
女性用風俗という言葉には、
どこかタブーの香りがついてまわる。
でも実際には――
そこには、一人ひとりの“自分を取り戻したい”という叫びがあった。
誰にも邪魔されず、
ただ一夜だけ、
欲しい温もりに素直になれたこと。
それは、
罪ではなかった。
あの夜、年下の彼にリードされて、
私は素直に「気持ちいい」と声に出すことができた。
あの夜、触れずに“見つめられる”ことで、
私は「女」としての存在を、ただ受け入れられた。
あの夜、声だけで、
私の身体は、誰にも知られずに、こっそり咲いた。
“女として扱われること”を、
いつの間にかあきらめていた。
でも、もう私は知っている。
私の中には、いつだって“女”が眠っている。
それを揺り起こしてくれる手が、声が、まなざしが、
この世にはちゃんと存在しているということを。
女性が、自分の快感や欲を語ることは、
まだ少しだけ、勇気がいる。
でも、だからこそ私は伝えたい。
「欲しい」と思った夜に、
「触れて」と願った瞬間に、
あなたは、すでに“自分を生きている”のだと。
あの夜があったから、私は今、
誰の目を気にするでもなく、
胸を張って、“私”という存在を選んでいる。
これは、きっとエロスの物語ではない。
これは、
愛していいと、自分に許可を出した夜たちの記録だ。
そしてきっと、次の夜もまた、
どこかの誰かの心に、小さな火を灯してくれる。
あの夜のように――。
