「その夜、私は“女”に還った」—15人の女性、15の秘密の夜 第4話  出張ホテルで、知らない男に抱かれる私

出張ホテルで、知らない男に抱かれる私

地方都市の出張。
夜の予定は空白。
食事に誘ってくれる同僚もいない。
同じホテルの、他の部屋にいる上司が嫌いで助かった。

「せっかくだから、ゆっくりしよう」
そう自分に言い訳して予約した“オイルマッサージ”。
風俗のカテゴリに入っているとは、知っていた。
でも、“ただのマッサージ”で終われる気がした。
いや、終わらせるつもりだった――あのときは。

 

ピンポーン、とドアが鳴る。
スーツのまま、髪をほどかず迎えた私を、
彼は少し驚いたように見て、それでもにっこり笑った。

「こんばんは。ご指定のコース、60分ですね」

低い声と、整った顔。
どこかで会ったことのあるような、優しい目。

「初めて…なんです。こういうの」
そう言った私に、彼は静かにうなずいた。

「初めての方は“決めてくる”んです」
「触れていいのはここまで。キスは禁止。最後まではしないって」

彼はそう言いながら、オイルを両手に広げ、
ジャケットを脱がせる私の肩をそっと撫でた。

「でも、途中で変わるんです。女の人のほうから、ルールを」

 

シャワーを浴びたあと、バスローブ姿になった私を、
彼はホテルのベッドにそっとうつ伏せに寝かせた。

滑らかなオイルが背中を伝い、
指が、掌が、肩甲骨を撫で、腰を包む。

「仕事、お疲れですね」
そのひとことが、涙が出そうなほど優しかった。

マッサージは本物だった。
でも、気づけば腰が反っていた。
太ももを揉まれるたびに、喉の奥が熱を帯びる。

「うつ伏せから、仰向けになりますか?」
首を小さく縦に振ると、
彼が手を添えて私をそっと仰向けに返した。

バスローブの前が、わずかに開く。
胸元の谷間に、彼の視線が落ちたのを感じた。
でも――私は閉じようとしなかった。

 

指が、鎖骨をなぞる。
胸の上を滑り、バスローブの間に入り込む。
触れた指の熱に、肌が敏感に反応した。

「ここ、気持ちいいですか?」

囁く声と、指の動きが同時に落ちる。
乳首に触れた瞬間、カラダがびくんと跳ねた。

「……ダメ、そこは……」
そう言いながら、脚は閉じきれなかった。
ショーツの上から、指がなぞる。
じんわりと滲む熱が、彼の指先を誘ってしまう。

 

「嫌だったら、止めます」
でも、私は止めなかった。
カラダが欲しがっていた。
名前も知らないこの男の手を。

ショーツの中に指が入ると、
あっけないほど簡単に濡れていた。
「ここ……もう、こんなに」
囁かれて、胸がきゅんと鳴る。

唇が触れたのは、首筋だった。
そこから耳へ、頬へ、そして――唇へ。

キスだけは、しないつもりだった。
だけど、もう無理だった。

舌が触れた瞬間、心が裏返るような快感が走る。

 

そして、彼が覆いかぶさってきた。

脚を開かされ、
熱いものが、ゆっくりと、
私の中に入ってくる――その一瞬、
思考はすべて、白く飛んだ。

 

奥まで届くたび、
「やだ、深い……」と小さく呻いた。
彼は動きを緩めない。
強く、深く、甘く、私を責め立てる。

「すごく感じてる。声、我慢しないで」

濡れた音がベッドの上に響き、
腰が打ちつけられるたびに、
快感が波のように押し寄せてくる。

自分がどんな顔で喘いでいるのか、もうわからなかった。

 

何度も、何度も、
波にのまれて、私は果てた。

ベッドに倒れこむ私の髪を、
彼がそっと撫でる。

「今夜は、奥さんじゃなくてよかったですね」

その言葉に、思わず泣きそうになった。

女として、抱かれた夜。
あの出張ホテルのベッドで、
私は確かに“女”として生き返った。