「その夜、私は“女”に還った」—15人の女性、15の秘密の夜 第5話  制服のままで、欲しかったのは…

制服のままで、欲しかったのは…

「先生ってさ、本当は甘えたいんじゃないの?」

教室の片隅で、何気なく言われたそのひとこと。
笑って返したつもりだったけど、胸の奥がざわついた。

白いシャツ、膝丈スカート、ぴちっとまとめた髪。
ちゃんとした“大人”を演じるために、私はどこまで自分を閉じ込めてきただろう。

それでも、
どこかで誰かに見抜かれてしまった気がして、
その日はまっすぐ帰る気になれなかった。

 

予約したのは、女性専用の出張リラクゼーション。
“癒しを目的としたマッサージ”と書いてあった。
でもその奥に、言葉にならない期待を詰め込んだ自分がいた。

ホテルの一室。
ノックの音とともに、彼は現れた。
どこか落ち着いた雰囲気の、優しい目をしたセラピストだった。

「先生…ですか?」
私のままならない服装を見て、彼が微笑む。

「学校帰り、そのまま来ちゃいました」
わざと軽く言ってみたけれど、
制服のままという事実が、自分でも少し――いや、だいぶ、刺激的に感じていた。

 

マッサージが始まると、
彼の手は驚くほど丁寧で、
触れるたびに、奥に溜めていたものが少しずつほどけていった。

「肩、ずいぶん張ってますね」
「普段、頑張りすぎてませんか?」

その問いかけは、肌ではなく心に届いた。
言葉にできない疲れが、指先に溶かされていく。
まるで、身体の内側にある“女としての感情”までなぞられているような気がした。

 

彼の手が、首筋から背中、腰へと滑っていく。
シャツ越しのやさしい圧が、
どこか眠っていた感覚をじんわり呼び覚ましていく。

私はそのとき、自分が無意識に、
シャツのボタンを一つ外していたことに気づいた。

彼は何も言わず、
けれど少しだけ手のひらの動きをゆっくりにした。

言葉はなくても、
「気づいていますよ」とでも言うように。

 

脚に触れられたとき、
心の奥に小さな熱が生まれた。
それはじわじわと膨らみ、
太ももに指が触れた瞬間、
ふいに喉が鳴った。

「気持ちいいですか?」

彼の声は、いつもと変わらないやさしさだったけれど、
どこか深いところを突かれたような気がして、
私は静かに目を閉じた。

まるで“何かを許してしまった”合図のように。

 

布の上から伝わる熱。
直接じゃないのに、こんなに感じてしまうのはなぜだろう。
制服のスカートの中に、
自分でも知らない渇きが広がっていく気がした。

触れられていない場所が疼く。
でも触れてほしいとは言えない。
ただ、じっと彼の手に身を任せて、
“まだ来ないその先”を、密かに期待する。

 

彼の指がピタリと止まる。
見下ろす視線と、見上げる私の目が重なる。

「先生、今日はここまでにしますか?」

その問いに、
私はほんの一瞬、言葉を失った。

続けて、とも言えない。
やめて、とも言えない。
でも、カラダの中では何かが、
もうとっくに始まっていた。

 

彼がゆっくりと私のシャツの襟を戻すと、
その指が、喉元でふわりと止まった。

「また、来てください。今日の続き…したくなったら」

その一言に、
カラダのどこかがきゅっと疼いた。

その夜、私は一人で帰った。
でも、指先の感覚はしばらく消えなかった。

“触れられなかった”ことが、
こんなにも残ってしまうなんて、知らなかった。